未成年者控除を使うための適用要件と控除額の具体的な計算方法

未成年者控除 相続税

相続人が未成年である場合、相続税額から一定額を引くことのできる「未成年者控除」という控除があります。未成年者控除はご自身で申告をしようとしている人でも、正確に計算をして申告すれば適用することができます。ここでは、相続税の計算上どのように控除すればいいのか、イメージしやすいよう具体例で解説していきます。

1.未成年者控除とは

相続人(財産を引き継ぐ人)が未成年の場合、相続税の金額を「未成年者控除」というもので減らすことができます。

20歳から相続した時の年齢を引き、その数字に10万円を掛けて出た金額を控除することができます。

未成年なのに税金を払わなければいけないのかと思う人もいるかもしれません。相続税が課される目的の一つに富の再分配があります。相続では働かずして財産がもらえますから、お金持ちのお家に生まれただけでその子供が何の苦労もなく財産を得られるのは不公平ですよね。そういった観点から、年齢にかかわらず相続税が課されるのです。

ただし、未成年であるということは教育費や養育費が必要となってきますから、そこを考慮して控除ができるという措置がとられています。

実際に未成年者控除を適用する方法は、まず、決められた計算式にその相続人の年齢を当てはめて控除額を計算します。その未成年者の税額よりも控除額のほうが大きく引ききれない場合には、扶養義務者であるほかの相続人の税額からも控除できます。そして、相続税申告書の第6表「未成年者控除・障害者控除の計算書」にその内容を記載して申告をします。

1-1.未成年者控除が受けられる人

未成年者控除が受けられる人の要件として次の3つがあります。

① 財産の取得時に日本国内に住所があること
② 財産の取得時に20歳未満であること
③ 財産を取得した人が法定相続人であること

上記3つの要件全てに当てはまっている必要がありますから、ご注意ください。

日本に住んでいる20歳未満の法定相続人がこの控除を使えますから、生まれて間もない乳児ももちろん未成年者控除を使うことができます。1歳に満たない生まれて数か月の赤ちゃんは満年齢では0歳ということですから、(20歳-0歳)×10万円で200万円を控除することができます。

相続が発生した時に母体の中にいた胎児についても無事に生まれれば相続人になることができますから、相続人となった胎児も同じ計算式で出された200万円を控除することができます。

1-2.年齢のカウント方法

未成年者控除の控除額は(20歳-相続開始時点の年齢)×10万円で求めるわけですが、相続開始時の年齢は満年齢でカウントします。

例えば相続が発生した時点で16歳11ヶ月であった場合には16でカウントしますので、(20歳-16歳)×10万円=40万円が控除額となります。

2.未成年者控除の計算方法

控除される金額は、次の算式で計算します。

<式> (20歳-相続した時の年齢)× 10万円

上記で求められた金額をその未成年者の分の相続税から引くことができます。

もしも、控除額が相続税額よりも大きかった場合、引ききれなかった控除額が出ます。その金額は未成年者の扶養義務者でほかの相続人の税額からも引くことができます。

例えば、子2人が相続人であったときに長男と次男の相続税額がそれぞれ40万円であったとします。

弟(15歳)⇒(20歳-15歳)×10万円=50万円(控除額)<40万円(相続税額)
あと10万円控除できますから
兄(27歳)⇒40万円(相続税額)-10万円=30万円(控除後の相続税額)

上記のように弟で引ききれなかった10万円を兄の相続税額から控除できます。

それでは、未成年控除の計算方法を具体例にあてはめて見ていきましょう。
<状況>
・夫(53歳)が突然他界
・相続人は妻(50歳)、長男(18歳)、長女(16歳)
・相続財産は自宅家屋1,000万円、自宅土地5,000万円、預貯金4,000万円
・分割は、自宅は妻、預貯金は長男と長女で1/2ずつ
 ※取得財産は妻が自宅2,000万円、長男が預貯金2,000万円、長女が預貯金2,000万円

(単位:万円) 小規模適用
自宅(家屋) 1,000 1,000
自宅(土地) 5,000 1,000
預貯金 4,000 4,000
合計 10,000 6,000
基礎控除 -4,800
課税遺産総額 1,200
法定相続分割合 税額
妻(1/2) 600 × 10% = 60
長男(1/4) 300 × 10% = 30
長女(1/4) 300 × 10% = 30
120
分割割合 税額
妻(1/3) 120 × 1/3 = 40
長男(1/3) 120 × 1/3 = 40
長女(1/3) 120 × 1/3 = 40
税額
40 0 ※配偶者の税額軽減
長男 40 20 ※未成年者控除
40万円‐10万円×(20歳-18歳)
長女 40 0 ※未成年者控除
40万円‐10万円×(20歳-16歳)
相続税額計 20

自宅を妻が相続するということで小規模宅地等の特例の80%評価減を加味して計算しています。(詳しくは別ページ参照)

一度法定相続分で相続税の総額を計算し、総額(上記の表でいう120万円)を分割割合で振り分けそれぞれの相続税額を算出します。そこから、未成年であれば未成年者控除の控除額を引いて最終的な納税額を求めます。

ただし、過去に未成年者控除を使ったことがある場合には、控除額が制限されることがありますからご注意ください。

3.婚姻した未成年も未成年者控除を使えます

結論からいいますと、婚姻した未成年者も未成年者控除を使うことができます。

民法では未成年者が婚姻をしたときには成年に達したものとみなされます。つまり、親の同意なしにローンを組んだり家を借りる契約をしたりといった法律行為ができる大人とみなされるわけです。

そこで気になるのが婚姻した未成年者も未成年者控除を使えるかどうかですよね。

相続税法では、婚姻しているかどうかに関わらず未成年者控除が使えると決められています。未成年者の負担を減らすのが目的ですから、結婚しているかは問われないわけです。

4.まとめ

「未成年者控除」は、相続税の他の控除と比べ計算式や適用方法が易しいため使いやすい控除だと思います。

控除額を計算し、その内容を申告書の第6表にフォーマット通りに入力するだけですから、相続人に未成年者がいる人はぜひ確認してみてください。

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