失踪宣告の取り消し方法は?取り消した後の効果や生じる問題も解説

「失踪宣告の取り消しはどの様に行えばいいのかな・・」

「取り消した結果、なにか不都合な事が起こったりしないのかな・・」

失踪宣告とは、失踪してしまい行方が分からなくなっている不在者や死体の確認ができていない等の理由で生死の確認が不可能となっている者を法律上「死亡したもの」とみなして、その者にかかわる法律関係をいったん確定させるための制度です。

普通失踪の場合は、生死不明の状態が7年間継続した時点で死亡が確定します。(特別失踪(危難失踪)の場合は、危難が去った時点)そして法律上、死亡したとみなした場合、以下のような効果が生じます。

  • 婚姻の解消
  • 相続の開始
  • 相続人からの除外
  • 死亡保険金の請求

しかし、後から失踪宣告を受けた人が生きていたことがわかる場合もあります。そういった時に行うのが「失踪宣告の取り消し」です。

この記事では、失踪宣告の取り消し方と失踪宣告を取り消した場合の効果、取り消す場合の重要ポイントなどをご紹介します。

1.失踪宣告の取り消しの手続き方法

失踪宣告を受けた人の生存が確認できた場合には、失踪宣告の取り消しを行います。

失踪宣告を取り消す方法

本人もしくは利害関係のある者が、家庭裁判所に対して失踪宣告の取消を請求する(失踪宣告取消し申立書を提出する)

利害関係者とは

  • 失踪者(行方不明者)の配偶者
  • 相続人(※1)
  • 財産管理人
  • 受遺者(※2)など失踪宣告を求めるについての法律上の利害関係がある人


※1)相続人について知りたい方は国税庁のサイトで確認を行なってください。
     参考:国税庁「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」
             https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4132.htm

※2)受遺者遺言によって財産を受けることができる人

失踪宣告取消し申立書には,以下のような申立ての趣旨と申立ての実情を可能な限り詳細に記載する

① 不在者の生存状態
② 不在者本人であることの同一性を認めるに足りる事情
③ 申立ての動機・経緯等について

申し立てをすべき管轄裁判所 失踪者本人が現実に居住している地を管轄する家庭裁判所
失踪宣告取消申立書に添付するもの

【失踪者本人が申立人の場合】
① 失踪者の戸籍謄本
② 失踪者の戸籍の附票
③ 取消事由を証明する資料
④ 失踪者の写真3枚

【失踪者以外が申立人の場合】
①~④に加えて
⑤ 申立人の戸籍謄本(全部事項証明書)
⑥ 申立人と不在者の利害関係を証明する資料

申し立てにかかる費用

・収入印紙:800円
・郵便切手:申立てを行う家庭裁判所が指定する金額及び枚数

※ 郵便切手については、各家庭裁判所が個別に金額や枚数を指定するので申立先への事前確認が必要

失踪宣告取消の審理の流れ

① 申立て
② 家庭裁判所の審理
  (書面照会、家庭裁判所調査官の調査、参与員の聴き取り、審問)
③ 審判(失踪宣告の取り消し)
④ 結果の連絡(審判書謄本)
⑤ 審判確定

2.失踪宣告の取り消しの原則的な効果

失踪宣告を取り消すと、はじめから失踪宣告がなかったことになります。失踪宣告の取り消しがあったことで、死亡者としての取り扱いは原則として最初から無効となり、生存しているものとして取り扱われるようになります。

「失踪宣告の取り消し」の原則的な効果は以下のようになります。

  • 財産関係や身分関係が元通りに復活する
  • その結果、相続が開始しなかったことになり、婚姻は解消しなかったことになる

たとえば適切に相続を行なったと思って相続財産を使っていた場合は、実は失踪者のお金を勝手に使っていたことになります。

一方で、失踪宣告の取り消しを行なったからといって、必ずしもその間に使った相続財産を全て返す必要があったり、新たに生じた婚姻関係を解消しなければいけないという訳ではありません。

次の章で、この点に関する失踪宣告の取り消しににおける、重要な2つのポイントについてお伝えします。

3.失踪宣告の取り消しにおいて重要な2つのポイント

失踪宣告の取り消しにおいて、以下の2つの重要なポイントがありますのでご紹介します。

(1)返還が必要なのは”現に利益を受けている限度”のみ

(2)失踪者の生存を知らずになされた行為の効力に影響はない

3-1.返還が必要なのは”現に利益を受けている限度”のみ

失踪宣告により財産を遺贈されたり、生命保険金を受け取ってしまった場合、返還しなくてはいけないのは、その利益が残っている限度(現存利益)でよいとされています。

以下は民法に書かれている条文です。

民法 第三十二条 (失踪の宣告の取消し)

1 失踪者が生存すること又は前条に規定する時と異なる時に死亡したことの証明があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪の宣告を取り消さなければならない。この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。

2 失踪の宣告によって財産を得た者は、その取消しによって権利を失う。ただし、現に利益を受けている限度においてのみ、その財産を返還する義務を負う。

参考:電子政府の総合窓口「e-Gov」民法
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=129AC0000000089_20180401_429AC0000000044&openerCode=1#130

たとえば、失踪したAさんの財産を相続したBさんがギャンブル等で全額浪費してしまった場合などはAさんに対して返還する義務はありません。

しかし、Aさんの財産を相続したCさんは、生活費に充てていたとします。本来Cさんが支払うべきだった金額はAさんから相続した財産を使ったことにより浮いたことになるので、Cさんにとっては利益となります(これを現存利益といいます)。よって、Cさんは相続したAさんの財産を全額返還しなければならないことになります。

3-2.失踪者の生存を知らずになされた行為の効力に影響はない

失踪宣告により財産を遺贈されたり、生命保険金を受け取ってしまった後、善意でなされた行為の場合は、得た利益を返還する義務はないとされています。

ここで「善意」とは、失踪者の生存、または宣告時ではないときに死亡したことを知らないことを指します。

たとえば、失踪宣告されたAさんの財産である土地を息子のBさんが相続したとします。その後BさんはCさんに、相続した土地の半分を売ったとします。残りの半分はBさんがそのまま所有します。

その後、Aさんの生存が確認されて失踪宣告が取り消された場合、BさんとCさんの両方がAさんは実は生きているということについて知らなかった場合は、Cさんに家を売った行為に影響はなく、Cさんはそのまま家を自分のものとして利用することができます。この場合は、Bさんが相続した半分の土地はAさんに返還する義務があります。

しかし、Bさん・Cさんのいずれか一方でも「実はAさんは生きている」ということについて知っていた場合には、BさんがCさんに土地を売った行為に影響があり、CさんはAさんに土地を返さなければならないことになります。

もうひとつ、善意でなされた行為が影響してくるのは婚姻関係です。

たとえば、D(夫)さんとE(妻)さんは婚姻関係にあり、Dさんが失踪して失踪宣告されたとします。妻のEさんは、失踪宣告によってDさんとの婚姻関係が解消され、Fさんと結婚したとします。

EさんとFさんが結婚した後、Dさんの生存が確認されて失踪宣告が取り消されました。

EさんとFさんが結婚する時点でDさんが生存していることを知らなかった場合(善意)、失踪宣告が取り消されたとしても、DさんとEさんの婚姻関係は復活せず、EさんとFさんの婚姻関係は維持できるとされています。

しかし、EさんとFさんが結婚する時点で二人のうちのどちらか一方でも「実はDさんが生きている」ことを知っていた場合、DさんとEさんの婚姻関係が復活し、Eさんは重婚状態となると考えられています。

(注意)上記の失踪宣告が取消された場合の婚姻関係については、上記の説明と異なる説も提唱されているので、実際には裁判所が異なる判断をする可能性もあります。

4.まとめ

失踪宣告の取り消しの手続き方法は、本人もしくは利害関係のある者が、家庭裁判所に対して失踪宣告の取消を請求(失踪宣告取消し申立書を提出する)します。

失踪宣告の取り消しの原則的な効果は以下のようになります。

  • 財産関係や身分関係が元通りに復活する
  • その結果、相続が開始しなかったことになり、婚姻は解消しなかったことになる

失踪宣告の取り消しをした時に気を付けるポイントは以下の2つです。

(1)返還が必要なのは”現に利益を受けている限度”のみ
(2)失踪者の生存を知らずになされた行為の効力に影響はない

失踪宣告の取り消し後、法律関係がどうなるかについては専門家の間でも解釈の仕方に大きな幅があり、裁判所が異なる判断をする可能性もありますので注意しましょう。

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