生前贈与をすべきか否か判断できる!5つのメリットを徹底解説

「息子に生前贈与を考えているけれど、生前贈与って得なのか損なのかよくわからない」
「親から生前贈与を申し出てくれたが、これを受けるべきかどうか迷っている」

そんな悩みや疑問で頭を悩ませてはいませんか?

ズバリ、生前贈与には以下のような5つの大きなメリットがあります!

1)生前贈与に適用される控除や特例を使えば、贈与税が大幅に節税できる
2)生前贈与で財産を減らし、相続時の相続税も節税できる
3)贈与する相手を自由に選べる
4)いつ贈与するか、タイミングも自由に選べる
5)生前に財産を分けておくことで、相続時のトラブルを未然に防げる

これらのメリットを享受したい人なら、生前贈与はぜひするべきです。

しかし一方で、「税務署から生前贈与と認められずに、多額の贈与税を課せられるリスクがある」などのデメリットもあるので、生前贈与を考えるなら、メリットとデメリットをよく知った上で決断した方がよいでしょう。

そこでこの記事では、

◎ 生前贈与で得する5つのメリット
◎ 知っておくべき5つのデメリットとリスクへの対処法
◎ 生前贈与した方がよい・しない方がよいのはそれぞれどんな人か
◎ 生前贈与で気をつけるべきポイント

を徹底的に解説していきます。

最後まで読めば、あなたが生前贈与でどんなメリットを受けられるのかがよくわかり、「生前贈与をすべきか、すべきでないか」自信を持って判断することができるでしょう。

また、デメリットについてもよく理解し、リスクに対する対処法を知ることで、親族からも税務署からも認められる安全な生前贈与を行うことができるはずです。

この記事によって、あなたが生前贈与のメリットを最大限に享受し、なるべく多くの財産を授受できることを願っています!

1.生前贈与の5つのメリット徹底解説

生前贈与にはたくさんのメリットがあります。

例えば、生前贈与の場合に適用される贈与税の控除制度や特例制度を使えば、相続税よりも少ない税金しか納めなくて済みます。

場合によっては、まったく非課税で多額の財産を受け取ることも可能です。

また、相続はあらかじめ法定相続人や相続の割合が決まっているのに対して、生前贈与は誰にいくら贈与するのか、贈る人が自由に決めることができるのです。

この章では、生前贈与のメリットを大きく5つに分けてご説明します。

1-1.特例などを使えば贈与税が節税できる

生前贈与の最大のメリットは、特例などを使えば贈与税が大幅に節税できるということです。

贈与税には基礎控除があり、1年ごとに110万円までは非課税で贈与できることになっています。

また、それ以外にもさまざまな控除や特例があり、これらを利用して計画的に贈与することで、同じ金額を相続するよりも大幅に税額を抑えることもできるのです。

主な控除・特例を5つ、以下に挙げましたので、自分が利用できそうなものを確認してみてください。

さらに詳しく知りたい場合は、関連記事「相続税を節税するために知っておくと役立つ相続税対策13選【税理士監修】」も参照してください。

◎ 暦年贈与で1年あたり110万円まで非課税

贈与税の基礎控除は110万円です。一人当たり1年間で110万円までの贈与には、相続税は課税されません。

これを利用して、毎年贈与を続ける方法を暦年贈与と呼んでいます。

この方法は簡単で誰でもできるため、実際に行なっている人も多い生前贈与の王道的なものです。

◎ 相続時精算課税制度で累積2,500万円まで非課税

「相続時精算課税」という制度を利用すると、60歳以上の父母または祖父母から20歳以上の子・孫への生前贈与は、2,500万円まで非課税になります。

ただし相続時には、生前贈与額分を相続額に組み込んで相続税を支払う必要があるので、いわば「生前贈与の贈与税を、相続時まで先送りする制度」です。

◎ 配偶者なら2,000万円まで控除

配偶者への生前贈与の場合、2,000万円までの控除があり非課税です。

ただし、婚姻期間が20年を過ぎた夫婦の間で、贈与を受けた配偶者が住むための不動産を購入する資金、または不動産そのものを贈与する場合に限られます。

◎ 教育資金なら1,500万円まで非課税

父母や祖父母から30歳未満の子や孫への教育資金を一括贈与する場合には、1,500万円までの非課税枠が設けられています。

ただし、現金を直接贈与するのではなく、子や孫の名義で金融機関に口座を開設してそこに入金し、子や孫は使った教育費の領収書を提出してお金を引き出す、という方法をとる必要があります。

また、2021331日までの期間限定措置なので、それ以降は利用不可になります。

◎ 住宅取得資金なら非課税

父母や祖父母から子や孫に対して、住宅の新築・購入・増改築費用を贈与する場合にも、最大3,000万円まで贈与税が非課税になります。

特に、省エネ住宅や耐震・バリアフリー住宅などに対して非課税枠が大きくなっています。

ただし、20211231日までに契約した場合に限られています。

1-2.相続財産を減らすことができる

生前贈与をすると、贈与した人の財産は減ることになります。しかし一方で、財産が減れば、亡くなった時の相続税も下がります。

もし、Aさんに多額の財産があり、なるべく多くの遺産を子どもに遺したいと考えたとします。その場合、上手に生前贈与で節税し、非課税や少額の納税のみで財産を子世代に引き継いでいくことができれば、Aさんの死亡時の財産は少なくなりますが、子どもたちに課せられる相続税も少なくて済むわけです。

最終的に納めた贈与税と相続税の総額は、全額を死後に相続した場合に比べて大幅に少なくなり、子世代により多くの財産を遺すことができるというメリットがあります。

1-3.贈与する相手を自由に選べる

生前贈与は、贈与する人が誰に贈るかを自由に選ぶことができます。

一方、財産を生前に贈与しない場合は、死後に法定相続人の間で分割して相続されることになります。

もし亡くなった人が、遺言書で「子どもの中でも長男Aに全額遺す」と書き残していたとしても、法定相続人(被相続人の兄弟姉妹を除く)には遺留分といって最低限の相続ができる権利が保証されているため、他の子どもが遺留分を請求すればそちらにも遺産が渡り、長男Aがすべてを相続することができません。

つまり、財産を遺す人が、法律で定められた相続割合とは違った形で財産を遺したいと思った場合に、遺言書だけでは完全にその希望が叶えられない可能性があるわけです。

それに対して、生前贈与は贈る相手を贈る人がまったく自由に選ぶことができます。

「長男Aに全額渡したいが、次男Bは納得しないだろうし、自分の死後に遺留分を請求してくるだろうな」と予想された場合、生前から長男Aにできるだけ多額の財産を贈与しておけばいいのです。

これは、贈る人にとっても贈られる人にとっても大きなメリットです。

1-4.贈与する時期を自由に選べる

生前贈与は、贈与する相手だけでなく贈与する時期も自由に選ぶことができます。

相続の場合は、財産を持っている人が亡くなるまでは、子どもや孫は財産を受け取ることができません。

そして、人はいつ亡くなるかわかりません。

つまり、相続による財産は、いつ子どもや孫の手にわたるのかまったく予測できないのです。

一方で、生前贈与であれば、財産を持っている人が望んだ時期に財産を贈ることができます。

子どもや孫が、

「学費が高額になる学校に進学するため、お金が欲しい」
「結婚して新生活を始めるので、まとまったお金が必要」
「家を買いたいので、頭金を数百万円は支払いたい」

といった希望を持った時、お金が必要なタイミングで贈与することができるわけです。

これは贈与される側にとっては、大変なメリットと言えるでしょう。

1-5.相続トラブルを回避できる

財産があると、相続時にトラブルを引き起こすことがあります。

生前贈与は、それを回避するためにも役立ちます。

例えば、実家の土地家屋は長男にすべて遺したいと思った場合、相続であれば他の兄弟が遺留分を請求することができますが、生前贈与であれば他の兄弟にはこのような請求権はありません。

相続に関して相続人がもめることが予想できるのであれば、あらかじめ生前贈与することでトラブルを未然に防ぐこともできます。

2.生前贈与するなら知っておきたい5つのデメリット

生前贈与にはさまざまなメリットがある一方、デメリットもあります。

どちらもよく理解した上でなければ、生前贈与で損をしてしまうリスクもありますので、以下のことには注意しましょう。

2-1.税務署に認められない危険性がある

生前贈与で節税するには、控除や特例のさまざまな条件を満たしていなければなりません。

もしそれに合致していなければ、税務署から認められず、通常の贈与税を課されたり、相続時に相続税を課されたり、場合によっては延滞税や追徴課税を余分に支払わなければならない可能性も出てきます。

それを避けるには、以下のような対策が必要です。

◎ 生前贈与の成立要件を満たす

生前贈与が「贈与」として法的に認められるには、以下の二つの条件を満たすことが必要です。

  • 財産をあげる人ともらう人双方の間で「贈与」と認識し、「あげる」「もらう」と合意している
  • 財産をもらった人が、それを自由に管理し、使えるようになっている

例えば、親が子ども名義の口座を作って預貯金をしていたとしても、そのことを子どもが知らなかったり、親が口座を管理していて子ども自身が預貯金を自由に使えなかったりすれば、それは「贈与ではない」とされてしまいます。

逆に、上記の二つの要件を満たすことが、生前贈与の第一条件です。

◎ 定期贈与とみなされないようにする

特に暦年贈与の場合に要注意なのが、「定期贈与とみなされないようにすること」です。

毎年一定額を贈与し続けていると、税務署から「これはもともとまとまった額を贈与するつもりがあって、節税のために小分けに贈与している(=定期贈与)のだ」と判断されてしまい、贈与した総額に対して贈与税を課せられる可能性があるのです。

それを回避するには、以下のような対策をとっておきましょう。

  • 贈与するたびに契約書を作って、「一つの贈与ではなくそれぞれ個別の贈与である」という証拠を残す
  • 時期や金額をバラバラにして贈与して、「定期的に定額を贈与している」とみなされないようにする

◎ 贈与した証拠を銀行振り込みや契約書などで残す

「これは生前贈与です」という証拠として、記録が残る銀行振込で贈与する、または贈与の契約書を作成することも有効です。

逆に、現金を手渡しで贈与してしまうと、何の証拠も残らないので、税務署から「本当に控除や特例が適用される生前贈与なのか」「税金が未納なのではないか」と疑われるリスクがあります。

2-2.不動産の贈与には贈与税以外の税金が発生する

控除や特例を使えば贈与税は節税できますが、不動産を贈与する場合には、贈与税以外の税金や手数料が発生してしまいます。

納めなければならない税金は、

  • 登録免許税
  • 不動産取得税

です。

他にも登記に関わる費用などが必要ですので、ある程度まとまった出費は覚悟しなければなりません。

2-3.贈与から3年以内に贈与者が亡くなると相続財産に加算される

財産を持っている人が生前贈与をしたとしても、本人が亡くなってしまうと、死亡時からさかのぼって3年以内に贈与された財産は相続財産とみなされる決まりがあります。

したがって、せっかく生前贈与として節税しても、それから3年以内に贈与者が亡くなれば、贈与を受けた人には相続税が課せられてしまうことになるのです。

これを避けるためには、高齢の人は元気なうちになるべく早く生前贈与をしたほうがよいでしょう。

また、以下の生前贈与の場合は、3年以内でも相続財産に加算されないので、安心して利用してください。

  • 相続や遺贈を受けない人(孫など)に対する生前贈与
  • 住宅取得資金等の贈与の特例
  • 教育資金の一括贈与の特例
  • 結婚・子育て資金の一括贈与の特例
  • 夫婦間贈与の特例

2-4.相続税申告の際に計算が面倒になる

もし贈与者が亡くなった時に、

  • 相続時精算課税制度を利用して贈与していた場合
  • 贈与者の死亡からさかのぼって3年以内に生前贈与していた場合

については、贈与分の金額を相続財産に加算して相続税を計算する必要があります。

そのため、相続税の計算が、通常よりも複雑になります。

万が一、計算間違いや申告の見落としがあれば、税務署から調査されてしまう危険性も出てきますので、慎重に計算しなければなりません。

2-5.遺留分減殺請求される可能性がある

もし正しく生前贈与された財産だったとしても、財産を贈与した人が亡くなった時に、他の相続人がその贈与に不満があれば、遺留分を請求されてしまう可能性があります。

具体的に挙げると、

  • 被相続人が亡くなる前1年以内に行われた贈与
  • 生前贈与した人とされた人の双方が、他の相続人の遺留分を侵害・損害を与えることを知っていて行なった贈与

については、生前贈与された人以外の相続人が遺留分を請求することができるとされています。

1-3で「贈与する相手を自由に選べる」のが生前贈与のメリットだと説明しましたが、例えば父親が子どもの一人・Aにだけ生前贈与して1年以内に亡くなった場合、Aの兄弟から遺留分を請求されて、財産を分けなければならなくなる可能性もあるのです。

そんなことがないように、できれば生前贈与する時には、関係者の同意を得ておくなどの事前準備が必要でしょう。

3.生前贈与を選んだ方がいいケース・よくないケース

「生前贈与には、メリットもデメリットもあるのはわかったけれど、結局自分の場合には、生前贈与したほうがいいのか、しないほうがいいのだろうか?」
「生前贈与するかしないか迷った時に、判断する基準は何だろう?」

そんな疑問を抱く人も多いでしょう。

そこでこの章では、生前贈与をおすすめしたい人のケース、逆におすすめできない人のケースについて、具体的に挙げていきます。

自分がどちらに当てはまるか考えて、生前贈与の是非を判断してください。

3-1.生前贈与する方がいい人

まず、生前贈与することでメリットを受けられるのはどんな人かを挙げていきましょう。

3-1-1.贈与する人がまだ若い場合

暦年贈与を利用して生前贈与する場合、毎年110万円までしか贈与できないため、多額の贈与をするには長い年月か必要です。

また、暦年贈与をしている間に、贈与する人が亡くなってしまえば、3年前までさかのぼった贈与額に、相続税がかかってしまいます。

そのため、高齢の人には暦年贈与は向きません。

反対に、まだ若い人からの贈与であれば、亡くなるまで長期間の暦年贈与ができるため、多額の非課税贈与が可能です。

3-1-2.多人数に財産を遺したい場合

暦年贈与は、一人あたり1年110万円まで非課税で贈与できる制度です。

子ども一人に非課税枠いっぱいを贈与するなら、毎年110万円ずつの贈与になります。

一方で、孫10人に均等に贈与するなら、最大で毎年110万円×10人=1,100万円ずつ贈与できるわけです。

これを定期贈与とみなされることなく10年続ければ、1億1,000万円を非課税で贈与できるということになります。

「多額の財産を大人数に分け与えたい」という場合にはとても有効と言えます。

3-1-3.特定の人に限って財産を遺したい場合

相続と違って、贈る相手を自由の選べるのが生前贈与のメリットの一つです。

「子どもたちのうち、長女のAにはとてもよく介護してもらっているので、他の兄弟よりもなるべく多くの財産を遺したい」

といったように、法定相続人や法定相続分とは違って、特定の人物に特に財産を遺したいという希望がある場合には、生前贈与をするとよいでしょう。

可能であれば、遺留分を請求されることのないよう、他の推定相続人にも同意を取れればベストです。

3-1-4.相手が必要な時に財産を渡してあげたい場合

財産を遺したい相手に、「子どもの教育費が必要」「家を購入したい」といった事情があって、相続時まで待たずに早めに財産を贈与したい時にも、生前贈与は有効です。

贈与する人の望んだタイミングで、いつでも贈与することができるからです。

特に、教育費や住宅購入費などを援助したい場合は、特例を利用すれば多額の財産を非課税で贈与できるのでおすすめです。

3-1-5.収益のある不動産を贈与したい場合

家賃収入のあるマンションなどの不動産を持っているなら、死後に相続させるよりも生前贈与する方が有利です。

というのも、例えば親がマンションを所有していれば、毎月の家賃収入が親の財産として蓄積されていき、相続時にはその分の相続税が配偶者や子どもに課せられます。

が、マンションを子どもに生前贈与しておけば、その時点から家賃収入は子どもの財産となり、相続税はかかりません。

継続的に収益のある不動産を持っている場合は、生前贈与は大変メリットのある方法と言えます。

3-1-6.将来確実に価値が上がる財産を贈与したい場合

相続税は、相続時の財産の評価額に対して課せられます。

一方、相続時精算課税を利用した場合、相続時に支払う相続税は「相続時の評価額」ではなく「贈与時の評価額」が採用されます。

そのため、将来的に確実に価値が上がる財産を贈与するなら、評価額が低いうちに贈与した方が、納める税額は少なくて済むのです。

例えば、時価5,000万円の土地を相続時精算課税制度を利用して相続した場合、2,500万円までは非課税なので、残りの2,500万円分の贈与税のみを納めて贈与を受けることになります。

相続時精算課税制度の贈与税は一律20%なので、「2,500万円×0.2=500万円」を納税します。

その後、贈与してくれた親が亡くなって相続が発生した時に、その土地が7,000万円に値上がりしていたとします。

その場合でも、相続時精算課税制度を利用していれば、贈与時の評価額である5,000万円に対する相続税だけを支払えばいいのです。

ですので、必ず価値が上がると確信できる土地や株式などの財産は、生前贈与した方がお得です。

逆に、年を経るにつれて価値の下がる財産、例えば家屋などは生前贈与に向きません。

3-1-7.贈与する人が会社経営など事業を行なっている場合

会社経営者や事業主の場合、財産の中には株式や事業用資産、事業所の不動産、さらには事業用の債務などさまざまなものがあります。

もし事業主が亡くなって相続するとなると、その遺産の分割は非常に複雑ですし、相続人の中に分割方法に納得いかない者があれば、相続手続きが長引いて事業に支障をきたす恐れもあります。

そんな危険を回避するためには、生前贈与で事業を誰かに譲渡するのが安全です。

事業を継承するのは誰か、誰が何をどんな割合で受け継ぐのか、事業主の存命中にきちんと取り決め、贈与を済ませてしまいましょう。

3-1-8.相続トラブルが予想できる場合

財産を持っている人の死後、相続人の間で「誰がいくら相続するか」「何を相続するか」などで揉めることが予想される場合は、先に生前贈与で財産を分けてしまい、相続財産を減らしておくのが得策です。

あらかじめまとまった額を推定相続人それぞれに生前贈与したり、不動産を誰か一人に贈与するかわりに有価証券を別の者に贈与するなど、みんなが納得できる形に収めておけば、被相続人の死後にいらぬ争いが起き、望まない相続結果になるような悲劇は避けられるでしょう。

3-2.生前贈与ではなく相続の方がいい人

生前贈与にはデメリットもありますので、それに当てはまる「生前贈与をしない方がいい人」「相続で財産を受け継ぐ方がいい人」のケースも紹介しましょう。

3-2-1.財産が少額で、相続税の基礎控除以内である場合

生前贈与の場合、控除や特例による非課税枠は以下の通りです。

  • 基礎控除:一人あたり毎年110万円まで
  • 相続時精算課税:2,500万円まで
  • 住宅取得資金等の贈与の特例:最大3,000万円まで
  • 教育資金の一括贈与の特例:1,500万円まで
  • 結婚・子育て資金の一括贈与の特例:1,000万円まで
  • 夫婦間贈与の特例:2,000万円まで

それに対して、相続税の非課税枠はさらに大きく、

  • 基礎控除:3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)→ 3,600万円以上
  • 配偶者控除:1億6,000万円まで

となっています。

ですから、財産があまり多くない場合は、わざわざ特例を使って生前贈与で節税するまでもなく、通常の相続をしても大きな税金は課せられません。

特に相続税の基礎控除額以内(3,600万円以下など)の場合は、全額を非課税で遺すことができるので、生前贈与のメリットはあまりないでしょう。

ただし、「早く財産を渡したい」「特定の誰かに財産を贈りたい」という場合には、生前贈与を選ぶメリットがありますので、財産を贈与する人と受け取る人の希望に合わせて選択してください。

3-2-2.生前贈与の控除や特例が適用される子どもや孫、配偶者がいない場合

そもそも生前贈与で節税ができる控除や特例の制度は、贈与する相手が子どもや孫、配偶者に限られるものが多くなっています。

逆に言えば、子どもや孫、配偶者がいない人の場合、生前贈与の控除や特例があまり利用できず、節税になりません。

むしろ、控除や特例がなければ、贈与税は相続税よりも税率が高いので、生前贈与によってより多額の税金を課せられる可能性があり、おすすめできません。

4.生前贈与するときのポイント

生前贈与は、うまく利用すれば大幅な節税ができ、子や孫世代により多くの財産を引き継ぐことができるものです。

そこでこの記事の最後に、生前贈与をするときに気をつけたいポイントを挙げておきましょう。

前の章と内容が重複する部分もありますが、あらためて重要な事柄をまとめましたので、以下のことには要注意です。

◾️ 生前贈与の成立要件を満たすようにする

そもそも法的に「贈与」と認められる要件にかなっていなければ、生前贈与と認められませんので、以下の2点は必ず押さえてください。

  • 財産をあげる人ともらう人双方の間で「これは贈与である」と認識し、「あげる」「もらう」と合意していること
  • 財産をもらった人が、それを自分で自由に管理し、使えるようになっていること

◾️ 生前贈与は、親や祖父母世代が元気なうちに始める

贈与する側が高齢になり、判断力が弱ったり、認知症を発症してしまうと、生前贈与に必要な「贈与の意思の確認」などが困難になります。

滞りなく贈与するためには、まだ元気で意思もはっきりしているうちに話し合いを始めましょう。

◾️ 暦年贈与の場合、贈与するたびに契約書を作り、贈与の時期や金額をバラバラにする

税務署から、暦年贈与を定期贈与=「もともと多額の財産を贈与するつもりで、小分けに贈与している」とみなされてしまうと、定期贈与の総額に対して贈与税を課せられてしまいますので、それを避けるためには毎回契約書を作る、贈与の時期や金額を毎回変えて「定期的な贈与」と思われないようにする、という対策をとりましょう。

◾️ 贈与した証拠を銀行振り込みや契約書などで残す

贈与した証拠がなければ、税務署は相続財産とみなして、相続税を課してくるかもしれません。

そうならないよう、贈与の証拠は必ず残しましょう。

現金手渡しの贈与などは厳禁です!

◾️ 名義預金はせず、預金口座は子や孫自身に管理させる

親や祖父母が、子や孫の名義で開設した口座に入金するのが「名義預金」ですが、これは税務署からは親や祖父母の財産とみなされて、相続税を課税される危険性があります。

それを避けるためには、そもそも名義預金をせず、口座を子や孫自身に管理させたり、子や孫が自分で作った口座に入金するようにしましょう。

5. まとめ

いかがでしたか?

この記事で、生前贈与にはさまざまなメリットがあることを理解していただけたと思います。

では最後に概要をまとめてみましょう。

◎ 生前贈与の5つのメリット

1)控除や特例を利用して、贈与税が節税できる

・暦年贈与で1年あたり110万円まで非課税
・相続時精算課税制度で累積2,500万円まで非課税
・配偶者なら2,000万円まで控除
・教育資金なら1,500万円まで非課税
・住宅取得資金なら非課税

2)相続財産を減らすことができる=相続税を節税できる

3)贈与する相手を自由に選べる

4)贈与する時期を自由に選べる

5)相続トラブルを回避できる

▼ 生前贈与するなら知っておきたい5つのデメリット

1)税務署に生前贈与と認められない危険性がある

2)不動産の贈与には贈与税以外の税金が発生する

3)贈与から3年以内に贈与者が亡くなると生前贈与ではなく相続とみなされる

4)相続税申告の際に計算が面倒になる

5)遺留分減殺請求される可能性がある

◎ 生前贈与する方がいい人
  • 贈与する人がまだ若い場合
  • 多人数に財産を遺したい場合
  • 特定の人に限って財産を遺したい場合
  • 相手が必要な時に財産を渡してあげたい場合
  • 収益のある不動産を贈与したい場合
  • 将来確実に価値が上がる財産を贈与したい場合
  • 贈与する人が会社経営など事業を行なっている場合
  • 相続トラブルが予想できる場合

 

▼生前贈与ではなく相続の方がいい人
  • 財産が少額で、相続税の基礎控除以内である場合
  • 生前贈与の控除や特例が適用される子どもや孫、配偶者がいない場合
生前贈与するときに留意すべきポイント
  • 生前贈与の成立要件を満たすようにする
  • 生前贈与は、親や祖父母世代が元気なうちに始める
  • 暦年贈与の場合、贈与するたびに契約書を作り、贈与の時期や金額をバラバラにする
  • 贈与した証拠を銀行振り込みや契約書などで残す
  • 名義預金はせず、預金口座は子や孫自身に管理させる

以上のことを踏まえて、あなたがなるべく贈与税を少なく抑え、多くの財産を生前贈与できることを願っています!

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