相続時精算課税制度の申告方法とは?自分で申告する際の注意点も解説

「相続時精算課税制度を利用して生前贈与したいけれど、どのように申告すればいいのかわからない」
「自分の場合には相続時精算課税は利用できるのか、利用したほうがいいのか知りたい」

など、相続時精算課税制度の申告と利用について困っていることや知りたいことはありませんか?

相続時精算課税制度の手続きは比較的簡単で、実際に自分で行なっている人も多くいます。

ただ、これを利用すると、

  • 生前贈与や相続の控除、特例のうち、使えなくなるものがある
  • 将来的に評価額が上下する財産を贈与する場合は、相続時に損する可能性がある

など、注意すべきポイントがいくつかあり、贈与の内容によっては制度を利用しないほうが得になるケースもあるのです。

そこでこの記事では、

  • 相続時精算課税制度の申告のしかた:必要書類、手順など
  • 利用を申告する際の注意点

について詳しく解説していきます。

さらに、

  • 相続時精算課税制度を利用しないほうがいいケース

についても具体例を挙げて説明します。

最後まで読めば、「自分はこの制度を利用すべきか」を判断することができ、正しく申告手続きできるようになるはずです。

この記事を参考に、上手に相続時精算制度を活用できるよう願っています。

1.相続時精算課税制度の申告のしかた

60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子・孫への生前贈与が、2,500万円まで非課税になる「相続時精算課税制度」。

いわば「生前贈与の贈与税を、相続時まで先送りして相続税として納める制度」で、これを利用する際には、税務署に必要書類を揃えて申告しなければいけません。

この章では、その申告のしかたについて詳しく説明していきましょう。

1-1.必要書類

相続時精算課税制度を利用しようと決めたら、まず申告に必要な書類を揃えます。

必要書類は以下です。

提出書類 1) 贈与税の申告書(第1表・第2表を記入)
第1表PDF
第2表PDF
2) 相続時精算課税選択届出書
PDF
添付書類 3)

受贈者(贈与を受ける人)の戸籍謄本または戸籍抄本で、以下の情報がわかるもの

  • 受贈者の氏名と生年月日
  • 受贈者が贈与者の子または孫であること
4) 受贈者の戸籍の附票など、受贈者が20歳になった時以降の住所がわかるもの
5)

贈与者(贈与する人)の住民票または戸籍の附表で、以下の情報がわかるもの

  • 贈与者の氏名と生年月日
  • 贈与者が60歳になった時以降の住所

「贈与税の申告書」「相続時精算課税選択届出書」は国税庁のホームページからダウンロードできます。 上の表の右欄にもリンクしましたので、利用してください。

1-2.申告のしかた

必要な書類がすべて揃ったら、「贈与税の申告書」「相続時精算課税選択届出書」を記入して、申告期限内に、贈与を受ける人の住所を管轄する税務署に申告しましょう。

申告の期間は、贈与を受けた年の次の年の2月1日から3月15日までです。

これを過ぎてしまうと、相続時精算課税が適用されませんので注意してください。

申告書と届出書の作成は、税理士など専門家に依頼することもできますが、自分ですることも可能です。

書き方がわからない場合は、国税庁のホームページに記入例がありますので、以下リンクから確認してください。

<相続時精算課税を適用する場合の申告書の作成例>(国税庁HP)

相続時精算課税を利用する際の贈与税の計算方法

申告書の中でもっとも重要なのは、贈与税の計算ですので、ここで詳しく説明していきましょう。

相続時精算課税の特別控除額は最大2,500万円で、この金額までの贈与は非課税です。

そして、相続時精算課税制度の利用を届け出てから、贈与者(財産を贈与する父母や祖父母)が亡くなるまでの間に、合計の控除額が2,500万円に達するまで何回でも利用することができます。

つまり、「1年目には1,500万円の控除、2年目には800万円の控除、3年目には200万円の控除」といったように、2,500万円の控除を分割して受けることができるのです。

そして、控除額を超えた分の贈与額に対しては、一律20%の贈与税がかかります。

また、この制度を利用して贈与を受けた場合は、非課税で贈与税ゼロの年であっても毎回贈与税の申告が必要ですので、忘れないようにしてください。

具体的な例で見ていきましょう。

【具体例】

◎父親からの生前贈与に相続時精算課税を利用する場合

1年目>→1,500万円の贈与を受ける
贈与額1,500万円特別控除額1,500万円 = 贈与税額0
※特別控除額の残りは、2,500万円 − 1,500万円 = 1,000万円

→税務署には、「贈与税の申告書」「相続時精算課税選択届出書」添付書類をすべて揃えて申告

2年目>→800万円の贈与を受ける
贈与額800万円特別控除額800万円 = 贈与税額0
※特別控除額の残りは、1,000万円 − 800万円 = 200万円

→税務署には、「贈与税の申告書」だけ作成して申告

3年目>→1,000万円の贈与を受ける
(贈与額1,000万円特別控除額200万円)× 税率20% = 贈与税額160万円
※特別控除額は200万円しか残っていないので、贈与額から200万円を引いた800万円に対して贈与税がかかります

→税務署には、「贈与税の申告書」だけ作成して申告

 

以上が相続時精算課税制度を利用した場合の申告のしかたと贈与税の計算方法です。

税率も一律でわかりやすいので、贈与を受ける人が自分で作成、申告するのも可能です。

実際に自力で申告する人も多いので、ぜひ挑戦してみてください。

1-3.税理士に依頼する場合の手続きと報酬

「自分で手続きするのはやっぱり難しそう」
「忙しくて自力で申告書を作成する時間がない」

という場合には、もちろん税理士に依頼することもできます。

ただ、手続きを代行してもらう際の報酬は、税理士事務所によって違います。

事務所のホームページを見て、直接問い合わせてみましょう。

2.申告する際の注意点

相続時精算課税の申告自体は簡単ですが、この制度を利用するにあたって事前に注意しなければいけない点がいくつかあります。

この章ではその注意点について説明していきましょう。

2-1.贈与税の非課税枠110万円が使えなくなる

贈与税には基礎控除があります。贈与される側一人当たり1年間で110万円までと定められていて、この金額以内であれば贈与税は課税されません。

この非課税枠を利用して、毎年110万円以内の金額を贈与することで、贈与税ゼロで生前贈与する人も多くあります。これを「暦年贈与」と言います。

が、相続時精算課税を利用することを選択してしまうと、この非課税枠110万円が利用できなくなるのです。

さらに、相続時精算課税は一度選択したら取り消すことはできません。

ですから、「自分の場合は相続時精算課税と暦年贈与のどちらが得なのか」を検討してみる必要があります。

2-2.将来的に贈与した財産の価値が下がると相続税で損をする

不動産や株式など、時期によって価値が変動する財産を生前贈与する場合は、相続時精算課税制度の利用は慎重に検討したほうがよいでしょう。

というのも、相続時精算課税は、

1)生前贈与は、2,500万円までなら控除
2)贈与者が亡くなって相続が発生した時に、1)の贈与財産を相続財産に加算して相続税を算出する

という制度ですが、2)の時に加算する贈与財産の金額は、相続時の評価額ではなく、1)の贈与時の評価額だからです。

贈与時に比べて、相続時の評価額が上がっていれば、低い評価額に対する税金を支払えばよいので得ですが、もし下がってしまうと、贈与時の高かった評価額に対する税金を支払わねばならず損をするのです。

具体的に例を挙げて見てみましょう。

【具体例】

◎父親から不動産を生前贈与された場合

<生前贈与時>
不動産の評価額は2,000万円
→相続時精算課税で全額控除することにし、贈与税0円で贈与

10年後、父が亡くなり相続が発生>
相続財産に、生前贈与された不動産の評価額も加算して相続税を算出する

不動産の評価額が上がっていた場合
評価額が3,500万円に上がった
→相続財産に加算するのは、贈与時の評価額=2,000万円
相続税を相続時には値下がりした価格ではなく、贈与したときの高い方の価格で課税されて損をする

◾️不動産の評価額が下がっていた場合
評価額が1,000万円に下がった
→しかし、相続財産に加算するのは、贈与時の評価額=2,000万円
→相続時も土地が値上がりしていても、値上がりした分は課税されないので節税できる

ですから例えば、

◎5年後に近くにターミナル駅ができるので、確実に地価が上昇する土地
◎今後株式の評価が上昇する

であれば、相続時精算課税を利用するとのちのち相続税の節税になる可能性が高いですが、

▼特に値上がりする要因がない土地家屋

は、相続時に評価額が下がっている可能性が考えられますので、相続時精算課税制度の利用は慎重にしましょう。

2-3.小規模宅地等の特例が使えなくなる

相続に関する控除や特例のうち、「小規模宅地等の特例」というものがありますが、実は相続時精算課税制度を利用すると、この特例が使えなくなってしまうというデメリットがあります。

この特例は、相続又は遺贈によって取得した財産のうち、被相続人又は被相続人と生計を一にしていた親族の事業に使用されていた宅地や国の事業に使用されていた宅地等、または居住用として使用されていた宅地等で建物や構築物の敷地として使用されているものについて、それぞれの限度額までの部分を減額できる、という制度です。

つまり、相続税も大幅に抑えられるわけです。

将来的に自宅の土地などを相続する予定があれば、生前贈与で相続時精算課税を使った方が得か、相続時に小規模宅地等の特例を使った方が得か、比較して決める必要があるでしょう。

2-4.必要な手続きや税金が増える

「1-2.申告のしかた」でも説明したように、相続時精算課税制度を利用すると、

  • 贈与税は非課税でも、税務署に申告しなければならない
  • 何回かに分けて控除を受ける場合、毎年申告しなければならない

という手間が増えます。

また、財産に不動産がある場合は、相続であれば不動産取得税は非課税なので必要ありませんが、生前贈与であれば、

  • 不動産取得税を支払う必要がある

というのも注意が必要な点です。

2-5.孫の相続税は2割増しになる

相続時精算課税を利用して孫に生前贈与することもできますが、その場合に注意が必要なのは、「孫の相続税は2割増しになる」ということです。

相続税の税率は、被相続人の配偶者と子ども、父母に適用されるもので、それ以外の人が相続する場合には、規定の相続税率で算出した相続税に2割を加算して納めなければいけないのです。

孫もこの2割加算の対象です。

そのため、相続時精算課税制度を利用して孫に生前贈与すると、いざ相続となった時に、孫は贈与された金額に対する相続税を2割増しで支払わなければいけなくなるわけです。

3.相続時精算課税は利用しないほうがいい場合もある

相続時精算課税制度には、メリットがあると同時に、注意が必要な点やデメリットもあります。

では、どんな場合にこの制度を利用しない方がよいのでしょうか?

それは、以下のような場合です。

◾️ 財産が多い

相続税は、相続財産が多いほど税率が上がる仕組みになっています。

そのため、財産が多い人は、生前贈与をしたり、各種の特例や控除を利用したりして、相続時の財産をなるべく少なくするように考えます。

そんな人が相続時精算課税制度を使ってしまうと、

  • 毎年非課税で110万円ずつ贈与できる「暦年贈与」が利用できない
  • 自宅を相続する際に「小規模宅地等の特例」が使えない
  • 生前に贈与した財産についても2,500万円は、相続時に相続財産に加算されるので、相続財産が増えてしまう

というデメリットがあるのです。

◾️ 将来的に評価額が下がる不動産の贈与を考えている

2-2.将来的に贈与した財産の価値が下がると相続税で損をする」で詳しく説明したように、将来的に価値が下がる財産の贈与には、相続時精算課税は不向きです。

相続まで待った方がよいでしょう。

4.まとめ

いかがでしたか?

あなたが続時精算課税制度を利用すべきか、利用するならどんな手続きが必要かを理解していただけたと思います。

では最後に、記事の内容をもう一度まとめてみましょう。

◎相続時精算課税制度の申告

1)必要書類を揃える

  • 贈与税の申告書(第1表・第2表)
  • 相続時精算課税選択届出書
  • 添付書類:受贈者の戸籍謄本、贈与者の住民票または戸籍の附表など

2)申告書と届出書を作成する

→贈与税の計算式は「(贈与された財産額特別控除額(最大2,500万円))× 税率20%」

3)贈与を受ける人の住所を管轄する税務署に、贈与を受けた年の次の年の2月1日から3月15日までに申告

◎申告する際の注意点

  • 贈与税の非課税枠110万円が使えなくなる
  • 将来的に贈与した財産の価値が下がると、相続時値下がりした価格ではなく、贈与した時の高い方の価格で課税されて損をする
  • 小規模宅地等の特例が使えなくなる
  • 必要な手続きが増える

◎相続時精算課税は利用しないほうがいい場合

  • 財産が多い
  • 将来的に評価額が下がる土地や株式の贈与

これらを参考に、あなたが相続時精算課税制度を上手に利用し、正しく申告できれば幸いです。

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