借金を相続する場合の3つ対処方法と相続税の仕組みを詳しく解説

借金 相続

父が亡くなり財産を調べたら今まで知らなかった借金を残していたということは珍しくありません。

親は迷惑をかけたくないとの思いから子供に借金のことをあまり話したり相談したりしないからです。

相続人である子は、亡くなった父の土地や建物などのプラスの財産を引き継ぐことになりますが、借金も引き継ぐことになります。

借金を引き継ぐと父にかわって返済する義務が発生しまいます。

しかし、引き継ぐことになる借金が予想外に多額にあった場合はどうしたらよいでしょうか。

現金や土地建物などのプラスの財産と残された借金を比較して、3つの対処法があります。

ここでは、3つの対処法と借金を相続した場合の相続税の仕組みについて解説していきます。

1.借金が残されていたら財産の調査が重要

亡くなった方が借金を残していた場合には、早めに亡くなった方の財産の調査をすることが重要です。

相続には「単純承認」、「相続放棄」、「限定承認」の3つの方法があり、それぞれ相続人の方が選択することができます。

借金が多額にある場合には相続放棄を考えなければなりません。

しかし、現金や預金、土地建物などのプラスの財産がどれくらいあるのか、借金などのマイナス財産がどれほどあるのかがわからなければ、相続の方法を選択することができません。

プラスの財産と借金などのマイナス財産を比較・検討することによって対処の方法を選ぶことができます。

1-1.プラスの財産の調査方法

相続財産を調べるときには、亡くなった方の遺品をよく整理することが重要です。

預貯金通帳や金融機関などからの郵便物が届いていたら、その金融機関に行って預貯金の「残高証明書」を発行してもらうことができます。

株式等を所有している場合も同様に証券会社で「残高証明書」が発行されます。

預金通帳などが見つからなくても、思い当たる近隣の金融機関などに預貯金等の有無について照会をすることができます。

不動産については、市区町村役場から固定資産税の納税通知書が自宅に届いているので亡くなった方が所有している土地や建物を確認することができます。

固定資産税の納税通知書が見つからない場合には、市区町村役場に行って名寄せ帳(固定資産課税台帳)の証明書を発行してもらうことにより所有している土地建物を調べることができます。

また、登記されていない土地建物があるかもしれませんので遺品の中の不動産売買契約書などを確認しましょう。

1-2.マイナスの財産の調査方法

銀行などの金融機関からの借入は通常預貯金の口座を通して返済されますので通帳を確認し、その金融機関に行って「残高証明書」を発行してもらうことができます。

死亡後返済が滞っていれば債権者から催告の通知や電話連絡がありますので借入先が判明します。

また、遺品の中に私的な借用証や金銭消費貸借契約書などの書類があるかを確認する必要があります。

なお、金融機関からの借入金については信用情報機関を利用して確認することができます。相続人であれば借入の状況等の情報の開示請求ができます。

各信用情報機関は金融機関別に次のようになっています。

銀行:全国銀行個人情報センター(KSC)

クレジット会社:株式会社シーアイシー(CIC)

消費者金融:㈱日本信用情報機構(JICC)

2.借金が残されていた場合の3つの対処方法

亡くなった方の財産調査した結果で、借金が残されていた場合次の3つの対処法があります。

① 単純承認する

→プラスの財産のほうが借金より多い場合

② 相続放棄する

→プラスの財産より借金の方が多い場合

③ 限定承認する

→プラス財産と借金のどちらが多いかわからない場合

2-1.単純承認する

亡くなった方に借金があるが、明らかにプラスの財産が多い場合にはそのまま相続すればよいことになります。

これを「単純承認」といいます。

特に手続きは必要なく、相続の開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所に相続放棄や限定承認の手続きをしなければそのまま単純承認したことになります。

2-2.相続放棄する

亡くなった方の残した借金が、プラスの財産より明らかに大きい場合には「相続放棄」することができます。

相続放棄をすると、プラスの財産も相続できなくなりますが、多額の借金を背負わなくて済むことになります。

また、相続放棄は相続人が単独ですることができます。

2-2-1.相続放棄の手続き

相続放棄は、自己のために相続の開始があった時から3か月以内に家庭裁判所に手続きする必要があります。

「自己のために相続の開始があった時から」となっているのは、被相続人が死亡したことや自分が相続人となっていることを知らなかった場合があるからです。

また、3か月以内を「熟慮期間」といいこの間に相続放棄するか否か方針を決めることになります。

具体的手続きは、「相続放棄申述書」を作成し以下の添付書類とともに家庭裁判所に提出します。

なお「相続放棄申述書」は各家庭裁判所か家庭裁判所のホームページで入手できます。

添付書類

被相続人の戸籍の附票または住民票の除票

申述人の戸籍謄本

被相続人の死亡がわかる戸籍謄本

2-2-2.相続放棄の注意点

相続放棄については次の注意点があります。

・相続放棄は撤回できない

相続放棄を選択すると相続に関する一切の権利について放棄することになります。原則として相続放棄の手続きは一度行うと撤回はできません。

・相続権が他の親族に移動する

相続放棄すると、初めから相続人とならなかったものとみなされ、相続に関する権利義務が他の相続人に移ることになります。

他の相続人の相続人分が増えたり、相続人でなかった親族が新たに相続人となることがあります。

借金の相続を免れるためには、これらすべての親族が相続放棄をすることが必要となります。

親族間のトラブルを避けるためにも相続放棄する場合には事前に連絡をとることをおすすめします。

2-3.限定承認する

借金がどの程度残っているか把握が難しい場合、またはプラスの財産がどれくらい残されているのかわからない場合には「限定承認」を選択することもできます。

限定承認するとプラスの財産と借金を相続しますが、プラスの財産の範囲内で借金を返済すればよいことになります。

借金の金額によっては、手放したくない財産を相続できる可能性があります。

また、相続人が資金を工面できる場合は、どうしても残しておきたい自宅などの財産のみを優先的に購入することができます。

しかし、限定承認は相続人にとって非常に役立つ制度ですが、手続きが複雑で実務上ほとんど利用されていないのが実情です。

2-3-1.限定承認の手続き

限定承認の手続きは、相続人になったことを知った日から3か月以内に家庭裁判所に申立をして行います。

また、相続人が2人以上いる場合には相続人全員が合意をしたうえで行う必要があります。

具体的な手続きは、「限定承認の申述書」を作成し以下の添付書類とともに家庭裁判所に提出します。

なお「相続放棄申述書」は各家庭裁判所か家庭裁判所のホームページで入手できます。

添付書類

被相続人の住民票・除票又は戸籍の附票

被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍

申述人全員の戸籍謄本

財産目録

当事者目録

申述に必要な添付書類

家庭裁判所で限定承認申述が受理されると

・ 相続財産管理人の選任

・ 債権申出の公告・催告

・ 相続財産の換価

・ 請求申出を行った相続債権者、受遺者への弁済

・ 余財産の処理

等の複雑な手続きとなりますので、専門家に依頼することをおすすめします。

2-3-2.限定承認の注意点

限定承認については次の注意点があります。

・限定承認は相続人全員で行うこと

限定承認の手続きは、相続人全員が共同で行う必要があります。

相続人のうち一人でも単純承認をすると限定承認の手続きはできなくなります。

この場合、他の相続人も単純承認か相続放棄をするかのどちらかしか選べなくなります。

・譲渡所得税がかかる

限定承認をすると、亡くなった方が死亡と同時にプラスの財産(土地、株式等)を適正価格で売ったとみなされます。

遺産の中に不動産や株式という財産が含まれていて、亡くなった方が購入したときよりも相続時の方が値上がりしていたような場合には、多額の譲渡所得税がかかってしまうことになります。

3.借金を相続した場合の相続税の計算

単純相続で借金を相続した場合、相続税では借金などのマイナスの財産は相続財産(プラスの財産)から差し引いて計算します。

3-1.借金は債務控除となる

相続税では、相続財産の価額から、亡くなった方が残した借金などの債務や葬式にかかった費用を差し引いて課税価格を計算します。

これを債務控除といいます。

図に示すと次のようになります。

相続財産(プラスの財産)
・土地等
・建物
・現金
・預貯金
・有価証券
・生命保険金
・その他の財産
債務控除(マイナスの財産)
・借金などの債務
・葬式費用
純資産価額(相続税の課税対象

相続税の計算は、図の「純資産価額」から基礎控除(3000万円+法定相続人の数×600万円)を差し引いた金額を「課税遺産総額」といいますが、この金額に対して相続税が課税されます。

したがって、相続財産から相続した借金を差し引いた残りの金額が基礎控除以下となる場合には相続税はかからないことになります。

また、控除債務の対象となる借金は、亡くなった方の死亡時に現実にあるもので、確実と認められるものに限られますので、債務控除の対象となる借金、対象とならない借金は次のとおりとなります。

借金には連帯債務や保証債務など難しい用語がありますが基本的な考え方を押さえておきましょう。

3-2.債務控除の対象となる借金

・金融機関などの第三者から借金

金融機関など第三者からの借入金は相続開始時の確実な債務であるため、債務控除の対象となります。

亡くなった日の借入金の残高および未払利息は債務控除として差し引くことができます。

・連帯債務

連帯債務とは、数人の債務者が、同一の債務について、各債務者が独立して全責任を負う債務のことで、しかも1人が債務を履行すれば全員がその債務を免れることになります。

通常、連帯債務者の当事者間では負担する部分が決まっているため、亡くなった方が負担すべき部分の金額が債務控除の対象となります。

なお、連帯債務者のうち弁済不能な状況となった人がいて、求償しても弁済を受ける見込みがなく、その人の負担部分についても亡くなった方が負担しなければならないと認められる場合には、その負担部分も債務として控除できます。

3-3.債務控除対象とならない借金

・保証債務

保証債務とは、主たる債務者が債務を履行しない場合に、その債務者に代わって履行をする、保証人が負う債務のことをいいます。

保証債務は、将来現実にその履行義務が発生することが不確実であるため、原則として債務控除できません。

ただし、主たる債務者が弁済不能な状況であるため、保証人である亡くなった方が負担しなければならなくなり、かつ、主たる債務者から返還の見込みがない場合には、主たる債務者の弁済不能な部分の金額について債務として控除できます。

・団体信用保険の付された住宅ローン

住宅ローンは金融機関からの借入金であるため債務として控除できます。

しかし、団体信用保険の付された住宅ローンは、債務者(被相続人)の死亡により支払われる保険金でその債務が補填されることになるため、債務控除の対象とはなりません。

4.まとめ

相続では預金や不動産などのプラスの財産だけではなく、借金などのマイナスの財産も引継ぎことになり、借金の返済は亡くなった方ではなく、相続される方の問題となってきます。

相続放棄や限定承認手続きには、3か月の期間しかありませんので、早期に財産の調査をして対策を立てる必要があります。

また、親族間のトラブルに発展することもありますので、慎重に進めることをおすすめします。

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